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【イベント】AAF Cafe vol.15「中平千尋さんの遺したものを未来へ!」



Nプロジェクトの小林です。

2005年の「とがび」開催時からお世話になっていたアサヒ・アート・フェスティバル(AAF)さんにご企画いただきました。

当日は、中平紀子先生をはじめ、とがび卒業生や参加作家の方々、縁のあったAAF参加プロジェクトのみなさま、美術教育界から「とがび」を注目してくださっていた先生方などが集まり、中平千尋先生のしてきたこと・成そうとしていたことなどについて、その足跡をたどります。

「足跡をたどる」とは言っても、ただ歩んできた道を追いかけるだけでなく、「その先になにを見ていたか、そのためになにをしようとしていたか、それを次にどうやってつなげていけるか」というところまで行き着けるといいなと、企画関係者のなかでは議論を重ねています。

こうして、様々な方面の方々とやりとりをさせていただいていると、
「『とがび』には、いろいろな解釈のされ方が開かれている」ということを感じます。

美術教育の視点、アートプロジェクトの視点、地域文化(まちづくり)の視点、
コミュニケーションの方法としての視点などなど……
その分「とがび」のことを伝えたり、語る側としては難しいこともあるのですが、
その「カオス」な感じこそが、「とがび」らしさだとも言えます。

きっと、みなさんにも経験したことがあると思いますが、
中学生だった頃の特有のモヤっとした感じというか、言葉とかにならないもの。
それを「中学生のおもしろさ」「豊かなもの」「多様性」として、
作品を通じて、世の中に見えるようにしたのが「とがび」でもあると思うのです。

限られた時間のなかでその「感じ」をお伝えするのは大変ですが、
みなさんと当日お会いできることを楽しみにしています!

▼▼▼イベント詳細▼▼▼
AAF Café vol.15

「中平千尋さんの遺したものを未来へ!」

長野県の公立中学校で10年にわたり繰り広げられた中学生主体の奇跡のアートプロジェクト。アートプロジェクトを育て上げた中平千尋さん(2014年急逝)の業績をあらためて見つめ直し、当時の教え子たちを中心に、中平さんの投げかけた問いを未来へつなぎます。
日時|3月19日[土]15:00-18:00(開場は開演の30分前)
会場|アサヒ・アートスクエア
 (東京都墨田区吾妻橋1-23-1 スーパードライホール 4F)   
料金|1ドリンクオーダー制
出演|茂木一司(群馬大学教授)、住中浩史、中平紀子、戸倉上山田中学OBのみなさん ほか
予約・問合せ| joho@asahi-artfes.net/Tel.03-6273-0002
 (AAFネットワーク実行委員会事務局)
主催|AAFネットワーク実行委員会
特別協賛|アサヒビール株式会社
助成|公益財団法人 アサヒグループ芸術文化財団

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2016年もよろしくお願いいたします。




昨年もお世話になりました。

「とがび」は10周年を期に一旦区切りがつきましたが、
2016年からNプロジェクトは新たな動きを始めていきます。

みなさまのお力を借りることも多くなるかと思いますが、
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

Nプロジェクト 一同

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ブログを読み直す - 004「美術の授業だけじゃ『とがび』は生まれなかった?」

Nプロジェクトの小林です。

これまでのNプロジェクトの活動記録を整理して、公開していく「Nアーカイブ」。
その取り組みの一つとして、約10年にわたる活動を3700件以上の記事でつづってきた旧ブログのバックアップを進めています。

今回は2006年5月6日と5月16日に投稿された「とがび2006」が始動した頃の記事に注目。

「とがび」がはじまって3年目の様子です。
この頃までは「総合的な学習の時間」を使い、クラスを横断して集まった生徒によって「とがび」は運営されていました。
今となっては批判にさらされることの多い「総合的な学習の時間」の授業ですが、あれがなくては「とがび」はなかったとも言えるかもしれません。

2006年の特徴としては、「戸倉上山田」という地域性を全体のテーマに設定し、それを様々な手法(それぞれの作家さんの得意なジャンル)を使って表現しようとしました。
思い返せば、地域の大人や風景、歴史、文化を知るきっかけになれば、地域に中学生の存在を知らせることができれば……そんな狙いが隠れていたのかもしれません。

「夏祭り」「温泉」「千曲川」「五里が峰」「キティパーク」(巨大な天狗像のある公園)など、戸倉上山田らしいテーマが、どんな作品へと形になっていくのか……果たして、この目論見はどんな形に実を結ぶのか。

少しずつ、みなさんと一緒に見ていきたいと思います。

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ブログを読み直す - 003「『Nスパイラル』の奥に見えること」

Nプロジェクトの小林です。

これまでのNプロジェクトの活動記録を整理して、公開していく「Nアーカイブ」。
その取り組みの一つとして、約10年にわたる活動を3700件以上の記事でつづってきた旧ブログのバックアップを進めています。

今回は2006年4月26日~5月10日に投稿された、普段の美術の授業を紹介する記事に注目。
20060426〜/1学年必修授業「ルネサンス2006~最後の晩餐」

これまで、ブログを追っていくなかで「とがびは普段の美術の授業があってこそ」ということが少しずつ見えてきました。

戸上中で行われていた美術の授業は大きく分けて2つ。
1)必修授業
2)選択授業

「選択授業」は、2年生以降に希望した生徒のみが履修する授業で、必修授業に比べるとより発展的な内容、また「暗闇美術館」や「光の美術館」など学外に飛び出したりする活動が特徴的でした。



一方の「必修授業」は、基本的に全生徒が履修する授業で、「Nスパイラル」という中平先生が独自に展開していたカリキュラムが展開されていました。

(残念ながら、4月28日の記事にある「Nスパイラルの要旨」はリンク切れになってしまっているので、後日、改めてこちらでデータをアップする予定です。)


「Nスパイラル」について、中平先生の説明を引用するとこのようになります。

「Nスパイラル」とは、3年間の美術の授業カリキュラムの名称です。大題材を3つの小題材「遊び的題材」「技能習得題材」「テーマから自由に発想するまとめ題材」で構成します。また、題材の始めと終わりには必ず鑑賞(名作鑑賞と生徒作品の相互鑑賞)を取り入れるという特徴を持っています。

これをざっくりと解釈すると、こんな段階を踏んでいるように感じました。


遊び的題材:美術そのものや、表現することについて身近に感じるきっかけや視点を見つける。

技能習得題材:その作品を題材にしながら、表現をするための方法・手段を学ぶ。

テーマから自由に発想するまとめ題材:手に入れた視点・方法を使いながら自分の表現をする。


必修授業ということは、当然のことながら「美術が好き」という生徒だけが受けるものではありません。(当初はぼくもその一人でしたが……!)割合で言えば、美術について「ふつう~苦手」と感じている持った生徒の方が多くなってくるでしょう。

「したいことがあるけれど、どう形にしていいかわからない」
「ある程度の形にはできる技術はあるけど、自分がなにを表現したいかわからない」
「したいこともないし、どう形にしていいかもわからない」

必ずしも美術を好きではない生徒にいかに美術を身近に感じてもらうか。
「Nスパイラル」には、中平先生の美術教育についての意識が垣間見えます。

それでは、実際の授業ではどんな内容を取り扱ってきたのか。
次はもう少し具体的に見ていきたいと思います。

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ブログを読み直す - 002「とがびの構造を見つけだす」

Nプロジェクトの小林です。


これまでのNプロジェクトの活動記録を整理して、公開していく「Nアーカイブ」。その取り組みの一つとして、約10年にわたる活動を3809件の記事でつづってきた旧ブログのバックアップを進めています。


 今回は2006年3月30日、4月3日に投稿された、選択美術の授業とそれに取り組んだ生徒の変化についての記事に注目。


昨日の記事でも触れましたが、平成15年(平成14年も)の「選択美術」の授業は、現役で活躍するアーティストの表現を目の前で見て、感じて、その上で自由に自分の作品制作に取り組むという点が特徴的でした。



これらの記事を読んでいると、当時の選択美術の状況は、とがび後期のそれに似ている部分があるように感じました。


初期のとがび(2004〜2006年くらいまで)では、アーティストと生徒が「共同制作」をして、それを展示・解説するというプロセスでした。それから次第に変化をしていき(主体が授業を履修した生徒から美術部に変わっていったこともありますが)、後期のとがび(2012年前後〜?)では、アーティストの力に頼らず、自分たちの手で最初から最後まで形にしていくというプロセスに移り変わっていったのです。



もちろん、後期とがびにはそれまでの蓄積(とがびに触れた下級生が進級して、とがびの担い手になっていく)があったということも大きなポイントだと思います。


ただ、こうした選択美術にしても、後期とがびにしても、生徒が「先におもしろがっている人がいる」ということを実感したことが、自分のオリジナリティを考えるきっかけ、ひいては制作の「おもしろさ」を起動するキーになっていたのかもしれません。


4月3日の記事にある研究会の先生方は、理屈ではない「おもしろかったから」という理由に肩透かしをくらったかもしれませんが……(笑


ブログをたどっていくうちに、こうした「美術・表現・制作のおもしろさ」を起動するきっかけについての考察も見つかっていくと思うので、それらの記事にも注目していきたいと思います。

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